原始の太陽
春の心、春のようなのどかな気持ちでいつもいたいと思う。
時間に追われて忙しくしているうちは、ゆったりしたのどかな心を保つのはむ
つかしい。美しい夕日に見とれてしばしたたずめる人は幸せな人。でも人は
自分自身を知らず知らずに忙しさに追い込んでいるようだ。インドへ旅をした
ときのこと、大平原のかなたに太陽が沈もうとした時、日本人のグループがい
っせいシャッターを切りはじめた。驚いたバスの運転手が言うには 日本には夕
日がないのか?遮るものがない地平線のかなたに沈んでいく太陽は太古の民
が目にしたのと変わらない風景なのだろう。自分までが原始の人になったよう
な気がする。確かに美しい。でも日本の家々の屋根のかなたへ沈む夕日も大
昔から変わらない、圧倒されるような、赤い大きな太陽なのだ。旅のグループの
人たちは日本にいる時は太陽なんて忘れているのだろう。忙しい人も、さして忙
しくない人も。そしてインドで大自然の神秘に目覚める。旅は人を蘇らせてくれ
る。
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